危機を乗り越えた三人
しかし、受難はまだまだ続くのであった。

心優「ねーマジ掃除とか片付けとかダルいんだけどー」
七海「そ、そう言わないで…頑張ろうココ！」
心優「だってさぁ〜楽曲作ってくれるから喜んだわけよ。あたしのミスもあったしさー」
チラッと慧士の方を見る
心優「先生、もう一週間もなーんにもしてなくない？」
涼夏「せ、先生にも何か思惑があるんだよ…きっと」
心優「そうなら良いんだけどさー。これでやっぱ嘘でしたー！とかじゃ話になんないしー」

慧士「大丈夫だよ心優ちゃん。ちゃんと作るから」
心優「え！？……聞こえてるとか、地獄耳かな」
七海「先生…耳がいいんだってきっと…あはは…」

慧士（今のところ三人の仲は悪くなさそうだな。それに心優ちゃんも以前より辛辣さが減って丸くなったみたいだ。恋をすると人は変わるか…良くも悪くもな）

冬伽「あ！慧士先生…！探しましたよ！」
慧士「あ…と、冬伽先生…！」
冬伽「会議あるのに何やってるんですか！もう…」
冬伽「あれ？あなたたち、どうしたのこんな所で」
七海「え、あ、あの…部室の清掃を…」
冬伽「先生！ダメじゃないですか…生徒に雑用させちゃ！」
慧士「こ、これにはワケがあってですね…」
冬伽「ダメですよ！言い訳したって！」
慧士「あはは…」
冬伽「早く行きましょう！他の先生も待ってますし」

教室を出て行く二人
冬伽「もう…先生いっつもこうなんですから…」
慧士「すみません、あとで一杯奢りますから」

冬伽「一杯じゃなくて…デートしてくれたらいいですよ…ふふふ」

慧士「ちょっ…！生徒に聞こえますよ…」

七海「ココじゃないけど…先生……大丈夫かな〜…なんか心配になってきた…あはは…」
心優「拓海先輩じゃダメだったの？」
七海「たっくん今忙しいみたい」
心優「そっかーじゃあ大人しく待つしかない感じかー」
七海「そうだね…」
七海「…たっくん」
 

一方、エスティニアの四人は…
ミリー「タク、お疲れ様」
拓海「あぁ、ありがとうミリー」
ミリー「それで、あの件うまく行ってる？」
拓海「問題ないだろう。僕より全てを知っている彼なら…」
ミリー「そう。なら一安心かしら」
竜也「大丈夫だよミリー。先輩に任せておけばさ」
柚月「そうそう！あの人が元々リーダーたったんだから、間違いないし」
ミリー「わぉ！？そうだったの？私はてっきりタクがずっとリーダーだったのかと…」
百桃「彼、あの一件以来、辞めちゃったから…でもみんな、彼の事は信頼しているわ」
拓海「そうだな…僕があんな事にならなければ…違ったのかな」
一同、空気を読み取り重い空気に

拓海「…こんな事を言っても始まらないな。みんなごめん…」
柚月「大丈夫だよ。それより拓海、ミリーから聞いたけど、タイムリミット…ヤバそうなの？」
拓海「…ああ。僕たちが介入出来る時間もそんなに長くないかもしれない。彼女自身が…今回の試練に打ち勝たなければ…」
竜也「勝算はあるんです？」
拓海「…分からない」
百桃「……あの人に賭けるしかないって事ね」
竜也「まぁ先輩ならやってくれるっしょ。俺らなんかより一枚も二枚も上手な人だ」
柚月「そうねー、任せきり…ってのは癪だけど…仕方ないか」
拓海「僕らは僕らで出来ることを…いいね？」
「一同、掛け声」おう！ええ！うん！

場面は部室に戻る
心優「ねー先生帰って来ないけどさー、今日はもう帰りでいいん？」
七海「そ、そうだね…やる事やったし、か…帰ろうか…あはは」

雨が降り出してくる
涼夏「あ…雨降ってきたね」
心優「まじー！？ホントやなんだけど」
涼夏「梅雨の時期…だもんね」
心優「あーでも1時間くらいで止むみたい。待ってから帰ろっかなー」
七海「そうだね」
涼夏「私もちょうど傘、忘れちゃったし」
心優「めずらしーしっかり者のすずがぁ？あはは」
涼夏「き…昨日は遅くまでその…電話してたから…」
心優「え！？何々？彼氏ぃ〜！？」
涼夏「………うん」
目を点にする心優と七海
心優「いまなんて？」
涼夏「か…彼氏が出来ました…！！」
心優「マジ…！？うそついてないよね？」
七海「えええええ！！！」
涼夏「ホントだってばー！」
心優「…あ〜これ、雨止まないで更に降ってくるやつだわ〜」
涼夏「ちょっと…！そんな失礼な事言わないでよ…」
七海「えーでもうらやましいなぁ〜すずも恋人ゲットかぁ〜」
心優「これで残りはななさんだけですね〜」
七海「むぅ〜！わ、私にはたっくんが居るし〜！」
心優「たっくん超遠距離じゃーん、どこで何してるのか分かったもんじゃないねー」
七海「もぅ〜ココ！！意地悪！！」
心優「えへへ〜！ごーめーん〜！」
七海「はぁ〜悪びれてない"ここ"が戻ってきて嬉しいやら悲しいやら…」
心優「でさでさ〜涼夏さん〜！お相手は誰なん？？」
涼夏「え？…えーっと、A組の大翔くん」
心優「あー！あいつかぁ〜！」
七海「すずのライバルみたいな人だよね」
心優「あたしはてっきりたっくん狙ってるのかと思った〜」
チラッと七海を見て意地悪する心優
七海「心優ちゃん…いい加減にしようね〜」
心優「な…なにすんのよぉー」
ほっぺをつねられムニムニされる心優
七海「まぁでも良かったじゃん、すず！」
涼夏「あ、ありがとう七海」
心優「うちらの中じゃあたしが一番乗りですけどー」
（七海・涼夏）「うん、それが一番信じられない」
心優「はぁ！？こーんなに可愛い心優ちゃんが彼氏居るのが信じられないって？？」
（七海・涼夏）「うん」
二人、真顔で
心優「なんだろ…あたし疲れてるんかな〜早くふゆくんと触れ合わなきゃダメかも」
七海「…ぷっ、あははは！」
涼夏「くすくす…！」
七海「ほーんとココ、変わったよね〜！」
心優「え！？なになに？」
七海「だって恋愛とは無縁…って感じだったし、結構無愛想なここばかり見てきたから、なんか可笑しいのと嬉しいのと半々って感じで」
涼夏「私はまさか冬馬と付き合ってるとは思って無かったから最初はビックリしたけど、二人が仲良くやってるのを見てると私も嬉しいよ」
心優「なな…すず…」

七海「はい！というわけで…ココちゃんには一番乗りした罰として！根掘り葉掘り聞かせて貰おうかな〜恋バナ！」
心優「はぁ！？なんでいちいち恋バナなんかしなくちゃなんないの！？」
七海「いいじゃーん、気になるお年頃！」
涼夏「わ、私は姉として冬馬が、その…心優とどこまで進んだか把握する義務があるって言うか…」
心優「お姉ちゃんにそんな義務はないから…！」
七海「いいじゃんいいじゃーん！聞かせてよー！」
心優「ひゃん…！ちょっ…！歯がいじめにして胸揉むなし〜！！！」
涼夏「や…柔らか〜い…にひひ」
心優「こら！すずー！！キモい顔してツンツンすんな！」

部室の扉が開く

慧士「き…君たち、なに、してるの？」苦笑

三人「あはははは…」苦笑


七海「それじゃ先生さようなら」
慧士「うん、またね」
三人の後ろ姿を見つめる慧士
慧士「あとは…ドン底から這い上がる力があるかどうか…それさえ揃えば、彼女たちの曲は完成する」


・エンドロール

七海「うわ〜また雨降ってきた」
心優「梅雨ウザすぎて萎えるんですけど〜」
涼夏「どう？水も滴る良い女？」
心優 「はぁ！？つっまんないこと言ってなくていいからさータオルとか持ってないの？」
七海「あー！ココ！可愛い下着！」
心優「は！？…ちょっ！見んなし…」
涼夏「へ〜心優可愛いじゃん、ピンクとからしくないの。うふふ」
赤面する心優
心優 「なっ…」
七海「ホント乙女になっちゃって〜おもしろっ」
心優「うぅ〜…なんであたしがいじらなきゃなんないん」
涼夏「まぁまぁ〜いっつも弄ってたんだから…仕返し？」
涼夏「…でもさ、いいよね。なんか、青春してるって感じ。楽しいよ私」

七海 「そうだね、ライブ配信してた時も楽しかったけど、今が一番楽しいかも」
心優「たしかにそうだけどさ〜…なんかムカつく」
七海「ココからムカつくもらっちゃったー、うふふ」
涼夏「いえい」
心優「なんだよー意地悪だな〜…ま、いいもーん。帰ったらあたしは冬くんに暖めて癒して貰うしー」
七海「はいはい惚気ー！」
涼夏「あ、私も大翔くんとまた電話しよつかな」
七海「あー！すずー！裏切ったぁ〜！」
涼夏「うふふ…七海も拓海さんに連絡したら？待ってるかもよ？」
七海「そ、そうかな…かけて…みようかな」
心優「かけろかけろーノロマのななさ〜ん！」
涼夏「そうだそうだ〜！勢いで告っちゃえ！」
七海「なーに…その煽り」苦笑
心優「だってさー、なな…そうでもしなきゃ全然進展しないじゃーん」
涼夏「そうだよー、一番モテそうなくせに…ね？」
七海「うー…こ、こう見えても奥手なの！」
心優「じゃあさ〜あたしが攻略法教えてあげるよー！その代わり、エペペコインおごりで！よろしくねー笑」
七海「な…そこは友達なんだからタダでしょここ〜！」
心優「あははは」

つづく