​メインストーリー第六話

じめじめした梅雨の時期も終わり、夏の到来を告げるセミの鳴き声と共に私たち三人にも、新しい転機が訪れようとしていた。

心優「あっつー…マジとろけそうだわ〜。とろけるのなんて冬くんとのキスで十分だしー」
七海「ココー、惚気るのやめてよー…余計暑くなるじゃーん」
涼夏「さすがに今日は暑いね…少し踊るだけで汗だく…」
心優「ななー、今日はもう帰ろうよー」
七海「ダメだよー、コンテストまでそんなに時間ないんだし、少しでも練習しておこうよ」
心優「だってさーもう無理じゃんこんな暑いんじゃバテるだけだしー非効率だわー」
七海「そう言わないでさ、頑張ろうよ。優勝賞金欲しいって言ってたじゃん」
心優「べっつにー。この暑さで倒れるくらいならマジなくてもいいわー。ぶっちゃけ、なんで夏にコンテストなんかやんのー。めんどくさいんだけど…」
涼夏「夏休みとかと被るから…かな？音楽のライブとかも夏にあったりするの多いよね。サマーライブとか！」
心優「だからなにって感じー。あたし暑いの嫌なんだよねー。マジ地獄…」
七海「先生が曲作ってくれてる間、ダンス練習頑張れって言ってたじゃん。頑張ろうよココ！」
心優「うー…とにかく今日はもうやなのー！」
七海「そんな子供みたいなこと言ってー」
心優「子供でもなんでもいいし！あたしもう帰る…」
涼夏「心優はホント昔から夏苦手だよね…あはは…」
七海「そうだとしてもダメだよ！今が頑張り時だよ！？」
心優「ねぇーもうしつこいしー。引き止めんのウザぁー」
七海「むー…や、やる気ないなら帰ればいいじゃん…！」
涼夏「ちょっと二人とも…ケンカしないでよ〜」
心優「はぁ！？やる気あるないと、暑いしバテるからって関係なくない？体育会系かよ」
七海「な！？"ここ"こそ、誤解を招くような言い方するのが悪いんだよ！」
心優「なに誤解って！？こんな暑いんじゃバテるだけで効率悪いっつってんのー！？分かんないかなー」
七海「そーゆー喧嘩腰、良くないと思うよ！ココ！」
心優「いちいちウザいんだって。良くないと思うって何様って感じ」
涼夏「まぁまぁ…二人とも喧嘩は止めようよ」
（心優・七海）「すずは黙ってて！」
涼夏「あ…うぅ…」シュンとする涼夏
心優 「ゲームだってさ、攻略するのに効率とか考えんのー！頑張るとかそーゆー問題じゃないんだよ」
七海「何でもそうやってゲームゲームって例えてさ！私はここみたいにゲーマーじゃないから分からないよ！」
心優「ふーん…じゃ、一人でやってればいーじゃん。あたしは非効率なのってやってらんないわー」
七海「なにそれ！？」
心優「だーかーらー！頑張ればどうにかなる精神のバカに言ってんのー」
七海「バカとか酷くない！？ここだってゲームゲームとか彼氏が〜ふゆくんが〜って真面目にやってないじゃん！すぐ帰りたいとか言ってさ！少しは私の身にもなってよ！」
涼夏「七海…！それ以上は…！！」
七海「そんなんだから、ここは…！！」

回想

心優「はぁ！？言っていい事と悪いことがあんじゃないの！？」
***「辛辣な心優に言われたくないよ！」
心優「ばっかじゃない！？あたし、友達には一回もそーゆーこと言った事ないんだけど。どーゆー神経してんだか…」
***「そ、そうやってガンガン言ってくるから悪いんだよ！！」
心優「へーだからって、あんな言葉言うとか最低だし。もう口聞きたくないし顔も見たくないわー」
***「な……もう、いいよ…」
心優「はぁ？何がもういいよなん？人にあんなこと言っておいてさー！」
***「わたしが居なければ関係ないじゃん」
心優「何言ってんの？キモッ…」
***「うん…だからもういいよ」
心優「呆れたー…自分で言っておいてそれとか。あたし、もう活動降りるから。すずもやんなくていいよもう！」
涼夏「ちょっと…友達なんだからやめようよ…」
心優「こんなやつ、友達じゃないよ。もう…」

小声で
***「そう…だよね。取り返しのつかないこと…言っちゃった…。ごめん、心優…」


回想終わり


心優「はぁ！？言って良いことと悪いことが…あんじゃないの？」涙ぐみながら
七海「あ…ご、ごめん……ココ」
心優「ひ…ひどいよ…あたしだってみんなの為に頑張って来たのに…」
心優「うわ〜ん……！！」
泣いて走り去る心優
七海「コ、ココ…！！」
涼夏「心優…！！」

重い沈黙を破り、涼夏が口を開く。
涼夏「七海！たしかにコンテストが近くなって焦る気持ちは分かるよ。でもさ、七海は知らないだろうけど、心優…密かに練習してるんだよ。ずっと…」
七海「え…？」
涼夏「前に自分のミスでコンテスト出場が危うくなった時からずっと、足を引っ張らないようにって」
涼夏「ダメだよ…！大切な仲間…友達でしょ？」
七海「……」
涼夏「自分一人で抱え込まないでもっとみんなを頼りなよ」
七海「……いんだよ」
涼夏「え？」
七海「私の気持ちなんて誰にも分からないんだよ！！」
その場から立ち去る七海
涼夏「七海…！！」
七海の後ろ姿を見つめる涼夏
涼夏 「七海…心優……私たち、どうなっちゃうんだろう…」

つづく