メインストーリー第七話 後編
空港のシーンから
夢芽「おめでとう、七海」
七海「え…?あなた…は?」
夢芽「ねえ、ちょっとお話しない?」
七海「ちょっ…ど、どういう事?」
白い光に包まれる
七海「ここは…!?」
夢芽「ここはわたしの記憶の世界」
七海「記憶…?」
夢芽「そう、あなたが見てきた現実は現実じゃない。わたしの中にある記憶を元に作られた世界」
七海「どういう事?」
夢芽 「あなたは…わたし」
七海「え!?」
夢芽「ううん、わたしがなれなかった私」
七海 「……」
夢芽「どうしてあなたとわたしが存在するのか…分からなかった。最初はね。でも、気付いたの。拓海とあの人が望んだからこうなったんだって…」
夢芽「その結果、あなたは期待通りの成果を上げた。わたしが手にできなかったもの、全てを手に入れるくらい」
夢芽「だからさ…わたしはもう必要ないんだよ」
七海「え…ちょっと待って!」
七海「それって…消えちゃうってこと?」
夢芽「…うん。同じ存在は二つ要らない…」
息を呑む七海
夢芽「あの世界で生きていくには…七海、あなたの方が相応しいよ」
七海「…ダ、ダメだよ!」
はっとする夢芽
七海 「だって、私はあなた…なんでしょ?だったらここまで頑張ってこれたのだって、あなたが居たからだよ…」
目を潤ます夢芽
七海 「私ね、よくあなたの過去を見ていたの。ううん、今この瞬間、あれはあなたの過去だったんだなって思った。辛い事…たくさんあったよね。でも!それでも、変えたいって気持ちが伝わって来たよ。だから…あなたも一緒に行かなきゃダメ!」
夢芽「…!!」
七海「さっき、たっくん達が望んだから私が生まれたって言ってたよね。でも、一番それを望んだのは…あなたでしょ?…大丈夫、辛い世界かもしれないけど、あっちにだって"ここ"や"すず"達が…あなたを待っている人達が……きっと居るよ!」
夢芽「ダメだよ…心優達とは…もう……」
七海「友達ってそんなもんじゃないでしょ?仮にもここでは喧嘩しても仲直りして…みんな団結して頑張れたじゃん。私はずっとあなたと一緒にいるよ。だから…もう一度、その目で…大切な人達を見てあげて」
夢芽「七海…」
七海「時間、みたいだね」
夢芽「わ…わたし!」
七海「ふふっ…今度は私達、友達になろうね!」
前へ向かい歩き出す七海
夢芽に近づき光に包まれる
七海「ずっと一緒の…親友に」
七海「さあ、行こう…夢芽!!」
病院のベッドの上。
目を覚ます夢芽。
涼夏「よかった…夢芽…!!」
心優「ホント、なにやってんの!?……バカぁ!!!」
夢芽「涼夏……心優………」
涼夏「ごめんね、夢芽が一人でそこまで思い詰めていたなんて…」
心優「あたしも…酷いこと言っちゃって…ホント、ごめん…」
夢芽「だいじょうぶ…」
夢芽「なんか…長い夢の中、ずっと二人と一緒で……嬉しかった……だから、そんな謝らないで」
夢芽「わたしたち、友達でしょ?」
涼夏「……う…うん!!」
心優「…あったりまえじゃん…!」
泣く二人
夢芽「そう言えば…拓海は??」
(心優・涼夏)「……」ため息
言葉を失う二人
夢芽「そっか……また、会いたかったな…」
涙が頬を伝い、自分の手の甲に落ちる
静まり返った病室に夢芽の鳴き声が響く
退院の日
心優、涼夏と共に病院を後にする夢芽。
エントランスを抜け、外へ出ると一人の男性が立っていた。
慧士「おかえり」
夢芽「…先生!」
慧士「よく、頑張ったね」
ずっと、ずっと長い夢を見ていた。
わたしが叶えられなかったもの、わたしが手放してしまったもの、わたしが壊してしまったもの…
そして…救えなかったもの…
何度も何度も目にしてきた。
確かに現実と同じで大変な事はたくさんあった。
それと同じくらい…楽しい事や嬉しい事も…たくさん。
わたしは苦難の末に掴んだ輝ける道を…大切な人達と歩んでいける未来を…手に入れた。
でも、この世界は残酷だ。
あそこで手に入れたものはほとんど残っていない。
どう足掻いたって手に入らないものすらある。
わたしは…これで良かったのか…今はまだ、答えが見つからない。
一年後…
夢芽と慧士が出会った場所(河川敷)
歌を口ずさむ夢芽
慧士「いい声だ…また、歌ってみるかい?」
夢芽「ありがと…先生」
慧士「こちらの世界では…間に合わなかったからね。あの時のようにもう一度、歌ってくれないかな?」
夢芽「やっぱり…先生だったんですね。あの曲を届けてくれたのは…」
慧士「ふふ…あいつと約束したからね」
夢芽「……ねぇ、先生。わたしも…前に向かって歩いて行けるかな?」
慧士「大丈夫。今の君にはそれが出来る強さと…仲間が居る」
夢芽「……そっか、じゃあ…わたし頑張ってみるよ」
慧士「そうだな。君が変われば、何かが変わる。それをどう受け止めて生きて行くかも、一つの道…かもしれないね」
夢芽「…そうだね」
慧士「でも…君はもうひとりじゃない。それだけは忘れないように。いいね?」
夢芽「…はい!」
慧士「それじゃ~コーヒー奢るから、飲んで帰るか」
夢芽「え!?いいんですか?じゃあ…ごちそうになりますね!」
手を取り歩き出す二人
河川敷を歩いて行く二人、その道中には様々な人が…
伊織「ほらほら、健人くんこっち向いて」
健人「もぉ〜先輩、写真はいいですよ…」
伊織「いいからいいから!私の彼氏なんだだから、サービスしてよ。ねっ!」
健人「はぁ〜仕方ないなぁ」
花音「瑞希〜!待ってよー!」
瑞希「花音、早く来ないと置いて行っちゃうよ!」
花音「早いんだってばぁー!」
瑞希「あはは!捕まえたらご褒美あげるから〜!」
楓澄「うわぁ〜凪咲見てよ〜、この動画めっちゃ面白くなーい?」
凪咲「え!?どれどれ?……あははっ!やっば!楓澄ホントそーゆーの見つけるの得意だよね!」
楓澄「でしょ〜!?めーっちゃおもしろーいから〜…高評価ポチッ!」
花奈「あ!乃々花久しぶり〜!」
乃々花「あら花奈!」
花奈「あれ?そちらの方は?」
乃々花「え?あ〜…その…か、彼氏です」
花奈「えー!?…いつの間に…」
乃々花「ちょうど一年前くらいから…ね?」
竜也「うん。竜也って言います。よろしくね」
花奈「あわわわ…ほんと昔から抜け目ない女ー!!」
乃々花「花奈だって良い人見つかるわよ」
花奈「私は…アイドルだから作らない主義なのー!!」
柚月「ももちゃん帰りにさー、ご飯行かない?」
百桃「あら、いいわね」
柚月「何食べよっか〜折角だし、お肉食べる〜!?」
百桃「そうね。明日休みだし…食べちゃおっか!」
二人「うふふ」
円香「ねーたっくん聞いて!私と七海のユニット名!」
七海「あー!ダメだよ円香!私から言うんだから…!」
円香「いーじゃん、七海はご活躍…だったんだし。ふふふっ」
七海「もぉ〜せっかく私からたっくんに伝えようと思ったのに〜」
拓海「あはは!喧嘩するほど仲が良いんだな〜二人は。さすが…親友だね!」
七海「もーたっくんも笑ってる場合じゃないよ〜」
拓海「ごめん!でもさ、なんか嬉しくて」
円香「嬉しい…だって、ななみ〜!」
七海「た…たっくんが喜んでくれるなら、円香と喧嘩するのも…悪くない??…って絶対違うよねー!?もぉー円香!?」
円香「あははっ!」
拓海「あ、それで何てユニット名にしたの?」
七海「あ、えーっとね…わたしたちのユニット名は…」
せーのっ!「アステルフレ!」
end